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バレンタインデー小説2
ちょうど一時間後。

ミントとアーチェが集合場所へ戻ってきた。

走ってきたので二人とも息が荒かった。

ミントが肩で息をしながら、消えかかりそうな声で言った。

「チョ、チョコレートの材料・・・ありました?」

「こっちはなかった〜。どうする?明日じゃん!間に合わないよぉ〜!」

この声まで聞き取れるとはさすがアーチェというところだが、今は材料を探せなくてはそういうことは全くにして無意味なことだった。

頭を抱えてジタバタするアーチェ。

そこへひとつの人影が上から降ってきた。

スタッとしなやかに着地し、体勢を戻してこう言った。

「お待たせしました。」

「す、すずちゃん!チョコレートは・・・。」

その小柄な人影はすずだった。

きっと家の屋根から飛び降りてきたのだろう。

「ありました。最後の一軒でようやく見つけました。」

二人の疲れきった顔が、一瞬にして満面の笑みに変わった。

「わぁ、ありがとすずちゃん!これでやっとチョコ作れるよ〜!!」

「ありがとうございます。」

二人からの賞賛の言葉に、少し照れながらもこう言った。

「いえ、そんな・・・。忍者ですから。」

「忍者って全然関係ないじゃん!」

アーチェの的を得た突っ込みに一同は微笑した。(アーチェは豪快に笑ったが)

「では、戻って早くチョコレートを作りましょう。」

ミントの言葉で3人はご機嫌で宿屋へ戻った。




部屋に戻ってすぐに3人は、それぞれ宿で借りたエプロンを装着した。

そして早々と調理室へ向かい、(これもわざわざ宿の許可を得た)チョコを作り始めた。

左のキッチンをミントが、右はすず、一番奥にあるキッチンはアーチェが、それぞれ使用した。

3人協力するのではなく、各々でチョコレートを作ると決めたのだった。



「ルンルル〜ルルル〜♪」

「アーチェさん、料理は集中してやらないと失敗しちゃいますよ。」

「大丈夫大丈夫♪」

「と言ってるそばから間違っています。チョコレートは直接火にかけるのではなくて、ちゃんと湯煎するんですよ。」

「・・・え・・・。」



「よっし。じゃ、冷やすね!」

「はい。冷蔵庫に入れてゆっくり冷やしましょう。」

「・・・アイストーネード!」

「Σ今ゆっくりと言ったじゃないですか!」

「しかもまだ形をとっていませんよ、アーチェさん。」

「ああ!平べったいままチョコレートが氷の中に!」

「急いで解かしましょう!」

「よぉし任せて。ファイアボール!」

「・・・解けたはいいんですが・・・・・・チョコが顔につきました・・・。」

「・・・アーチェさん・・・!」

「わぁぁぁゴメンミント!すずちゃんもゴメン!というかミントの大切な真っ白い帽子が、茶色いチョコ塗れだよ!ぷぷっ。」

「〜〜〜笑い事じゃありませんよ!」



「あ〜ねぇねぇ、さっきの買い物の時に他のお菓子買ってきたんだ。それをチョコの中に入れても良いかな?」

「それはいいですね。その方がチェスターさん、喜びますよ。」

「なっ、チェスターにあげるんじゃないってば!」

「ところで何を中に入れるのですか?」

「え?酢昆布♪」

「・・・・・・。(もう入れちゃってますし、今更だめだとか言えないわ・・・。)」

「・・・・・・。(忍者の里ではそんな拷問聞いたことがありません。チェスターさん、無事生還できるのでしょうか・・・。)」




「はぁ。いろいろハプニングあったけど、ようやく完成したね!」

アーチェは屈託のない笑顔を2人に見せた。

「はい・・・。では早く部屋へ戻って寝ましょう。もう夜中の1時を過ぎています。」

アーチェは調理室にある大きく丸い時計をさっと見た。

「え〜もうこんな時間なんだぁ。11時くらいだと思ってたよぅ。」

「そうですね。では行きましょう。」

すずが促し、ミントとすずは疲れ気味な様子で、アーチェはルンルン気分で部屋へ帰った。